北岳バットレス第四尾根~お初の南アルプス

クライミング
第四尾根の取り付き以降はキレイな富士山を見ながら

2023年9月11日~12日 yoyu+非会員2名

8/18-20のyassun&kamacoと全く同じルート、Bガリー大滝からのアプローチで第4尾根を登りました。 自分は「後立山専門」なので南アルプスは初めてです。(もちろん北岳も) テント泊も記憶にないくらい久しぶり。 北岳のバットレスは岩質がチャートで節理の崩壊の進行は予想すべき自然現象だそうで、1981年のマッチ箱付近の大崩落と2010年の枯れ木のカンテ付近の大崩落では大きな地形変化と、どちらも大崩落による死者が発生しています。 いずれ登れないルートになるかもしれず、登れるときに登っておきたい気持ちがありました。

【一日目】 広河原10:29~白根御池小屋12:59

初日は広河原(標高1,529m)から白根御池小屋(2,236m)まで登ってテント泊ですが、クライミング装備の重みもあり地味にしんどい。

広河原の吊り橋を渡る

しんどいけど樹林帯の木陰が続いて休憩時は涼しくもありました。 北岳は人気ある様で、平日なのに行きかう登山者はとても多い。 しかし下りの方々は皆さん誰もが待って道をあけてくださり、マナー最高です。(正直、六甲山とは全然違う)

白根御池小屋の生ビール¥1,000- このために持ってきた「自然解凍OK」のダイエーの冷凍砂肝

白根御池小屋は水も豊富でタダ、有難いです。 しかし、この日は夕方から天気が崩れ、暗くなってからはどしゃぶりと言っていいくらいの雨。 「もしも明日の朝もこんな状況なら、せいぜい取り付きの偵察で帰りましょう。」と話したくらい。 テントを激しくたたく雨音を聞きながら早めに午後5時過ぎに就寝。 「これしか持ってない」冬用のシュラフが暑くて時々目を覚ますが、久しぶりの割には寝られました。

【二日目】 白根御池小屋3:05~大樺沢二股3:26~Bガリー大滝基部5:31~第四尾根取り付き6:23~北岳頂上11:18~肩ノ小屋11:43~白根御池小屋13:11~広河原15:11

朝2:20ころに目が覚めて支度開始。 白根御池小屋(標高2,236m)から大樺沢二股(2,240m)までは樹林帯の横移動で、その後は斜度が上がって八本歯のコル方向のルートを2,450m付近まで大樺沢を進む。 Bガリー大滝を目指して右側に踏み跡を探し、ちょっとだけ途中で迷いましたが比較的スムーズにBガリー大滝の基部(たぶん2,750mくらい)に到着。

Bガリー大滝を含む崖が近づいた場所で朝ごはん。 夜明けの東の空がキレイでした。

どれがBガリー大滝なのか分かってなかったが、直下にアプローチ出来た

Bガリー大滝に到着。 アプローチシューズでフリーで登りました。

Bガリー大滝には3ピッチ(?)の支点もあり、初心者がいる場合やコンディションによってはロープを出した方が良いと思います。 更に、自分はアプローチシューズなのでフリーでも登攀には問題無かったけど、長い下山を考えるとアプローチシューズより登山靴の方が良かったと思います。

Bガリー大滝を登ってから草付きの斜面の踏み跡を辿り、途中でCガリーにトラバースして横切りますが、Cガリーはザレた落石の危険個所だそうで、内心「あ~、コワ。」と思いながら。 ザレた斜面の斜度の緩い箇所を選んで急いで横切って少し登ると「4」の文字が書かれたヒドゥンガレーの基部に到着。 ここで後続の女性のお二人パーティが追い付いてきたので先を譲る。(こっちは3人なので)

このお二人のリーダーっぽい方、山屋らしい引き締まった強そうなお顔で、しかもとてもキレイなコンテ結びだったので、「ガイドさんですか?」と尋ねたら「イエ」。 しかし後でやっぱり北海道のガイドさんと判明(この時はガイド山行では無かったのかも)。

ヒドゥンガリーで後続に先を譲る。 アプローチシューズで楽に登れたがロープは出した。

ヒドゥンガリーを登るとようやく第四尾根の取り付き(たぶん2,900mくらい)。 最後のピッチである城塞ハングが3,050mくらいなのでクライミングで登る標高差は大したこと無い気もしますが、あのロケーションと景色は本当に素晴らしい。 この時は天気も良かったので、富士山がとてもキレイに見えて「さすが3000m峰の景色は違うわ。」と勝手に感動。

第四尾根取り付きから見る富士山

さて、クライミングの開始。 最初のピッチはツルッとした岩質のクラックなんですが、yassunから「フィストジャムが極まるので(難しくない)」と予習してたので難なく突破。 岩は乾いていてクライミングシューズのフリクションも良く、最終ピッチまで登る苦労はあまりありませんでした。 烏帽子岩で言うと、難しい箇所でもマイルドセブンかせいぜいエイトマン。 yassun&kamacoの時みたいに岩が濡れてると難しいでしょうけど、天気が良いなら初心者も連れて行ける印象でした。 また、事前にyassunから聞いてた通りカムは不要でした。 持っていってもたぶん重しにしかなりません。

4+5ピッチ目。「(ロープ)あと10m」コールを3mしか無いと勘違いして懸垂支点の手前のピナクルでピッチ切ってしまう( ;∀;)

マッチ箱に到着。 先行のガイドさんパーティが撮ってくれました。

逆にマッチ箱から最終ピッチの城塞ハングの下に先行パーティを見上げる

マッチ箱から10mほどの懸垂下降

しかしこの頃から大樺沢にガスが急速に沸いてきました。

城塞ハングの基部でビレイするが、ガスがどんどん湧いてくる

マッチ箱の後続パーティもガスの中

枯れ木のカンテから城塞ハングの基部方向を見る

むー、眺望が。。

それでも最終ピッチの城塞ハングの岩は乾いたままでフリクション良く、yassun&kamacoが濡れた岩をチムニー登りで突破したそうですが、我々はチムニー登りはせず(出来へんけど)、フェースクライミング的に体を壁から離して難なく登ることが出来ました。 烏帽子岩のエイトマンくらいかな(?)

しかし自分にとって核心はクライミングを終えてからでした。 疲れなのか高所のせいか分かりませんが、北岳頂上まで脚が重くて一歩一歩がしんどく、トボトボ歩いてヘトヘトで頂上に到着。 その時はもう眺望ゼロでした。

バテバテでお初の北岳頂上に到着。 眺望は無いけど達成感は十分。

頂上以降はほぼ下るだけなので、肩ノ小屋で水(200円/L)を補給してから下山。 白根御池小屋でテント回収して、その日のうちにそのまま広河原へは累積1,800mの下山となり、なかなかしんどかったですが、最終タクシー16:00発には余裕で到着。 山スキーも同じですが、終わってみると「しんどい=充実感」があり、アルパインクライミングもエエなぁと思いました。 メンバーのIさん、Mさんありがとうございました。

(完)

 

 

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