冬山合宿 白峰三山

縦走・ピークハント

冬山は かくも美くし されど厳し
・・・圧倒される北岳バットレス、眺望この上なし、
・・・強風による震える寒さと、どこまでも続く雪稜歩きは厳しい。
三千メートル峰五座を結ぶ大縦走! 果たして無事に完登できたのでしょうか。

日時 : 2019年12月30日(月)夜~2020年1月3日(金)
参加者: リーダー:たきゆ  レポーター:おじぃ
装備 : 冬用装備1式(2人用テント、ビーコン、スコップなど)  補助ロープ20m、スリング2本、安環カラビナ2ヶ

コースタイムとレポート

12月30日 夜9時過ぎ、JR大阪駅に降り立ち、重いザックにくじけながら、東梅田バス停に向かう。
明日は大晦日、年越そばを食べ、元旦は「おせち」を味わい、ぬくぬくとできるのに、なぜ自分は、わざわざ夜行バスに乗って、凍る寒さの冬山に向かうのか。
(・・・アカン、加藤文太郎調になってしまった。名シリーズ「どっこい!低山」の作者に怒られそう!)
バス停で、たきゆさんから食糧の分担を貰う。ザックはジャスト20Kgだろう。
バスは満席、しかし山屋は私達二人だけ。定刻10時出発。

12月31日(火) 快晴、無風 
JR韮崎駅6:00=待機=レンタカー屋8:05=10:00奈良田第一発電所10:15~13:15歩き沢橋13:35~16:55池山御池小屋

韮崎からレンタカーを走らせること2時間、奈良田第一発電所前の駐車場に着く。
県道南アルプス公園線だが、冬季は閉鎖され歩行者も通行禁止。
北岳は5回目というリーダーたきゆさんはゲートを攀じ登り、中から通用口を開けてくれる。
山屋の常識のようで。  12Kmの林道歩きの始まり。

野呂川発電所手前に新しい鷲住トンネル(1.05Km長)ができていた。
次に吊尾根トンネルを過ぎると、歩き沢橋が見えてきた。
バス停があり、池山吊尾根への登山口標識がある。

樹林帯の急登、それでも日没までに池山御池小屋に着きたいと急ぐ。
高度を上げると雪も凍ってきてアイゼンを装着。何とか、夕方5時前に小屋に到着。小屋には先着の2組が板の間にテントを張っていた。
仕方なく土間にテントを張ろうとすると、荷物を片付けスペースを確保してくれた。私を見て敬老精神を発揮してくれた。有り難い。
今日出会ったのは小屋の4人のみ。

 

2020年元旦(水) 快晴、午前:風弱く 午後:風非常に強い
池山御池小屋6:00~8:40砂払い8:55~9:40ボーコン沢ノ頭9:50~10:50八本歯ノ頭11:05~13:45吊尾根分岐~14:00北岳~14:20吊尾根分岐~15:30北岳山荘

小屋を出て、池山吊尾根の樹林帯の急登を進む。
朝日が差し込み、樹木と雪面をオレンジ色に染めていく。

樹林帯を抜けたところが砂払
一挙に、360度の大展望、北に甲斐駒、千丈。北東に鳳凰三山。南に富士山。
西には明日行く農鳥岳が迫ってくる。

間ノ岳と、たきゆさん

これから行くボーコン沢ノ頭に隠れて、北岳はまだ姿を見せない。

ボーコン沢ノ頭に着くと北岳バットレスが姿を現す。

八本歯ノ頭から見る北岳バットレス、威容を誇っている。
ここに一人用テントが・・一日眺めていても飽きないだろう。
その横に雪山遭難者の慰霊碑有り、「決して山で死んではならない」と。 私も胸に刻みます。

八本歯のコル、尖った岩場の通過、緊張の連続。
コルを越え、登りに差し掛かると右脚が引き吊る。いくら池山吊尾根コースといっても、脚が吊るとは。
仕方なくゆっくりペースで進む。

北岳の稜線に出ると、西からの強風が吹き始め、急いで山頂を目指す。
山頂からの絶景、すぐ真近に富士山。

ますます、風が強くなる。「1日午後から風が強くなる」の予報が的中したようだ。
北岳までにすれ違った方も言っていた。誰も山頂に居ない。
仕方なく交互に記念撮影をして直ぐに下山。
北岳までに出会った山行者は計8人、皆、池山吊尾根のピストン組で縦走組は私達のみ。

池山吊尾根分岐に降りた頃、西風は非常に強くなり、耐風姿勢でも危うく、道標にしがみつく。
少し風が弱まり「この先、どうするの?」と、たきゆさんに相談しようとしたら、すでに北岳山荘方面に向かっている。
夏道は雪で覆われて見えない。斜度45度の雪面を渡り始める。下を見ると同じ傾斜で雪面は何百メートルも続いている。
ピッケルのシャフトを雪面に打ちキックステップでトラバース、リッジにぶつかり下降、その後登り返して夏道に復帰する。
その間も西風は強烈だ。
ピッケルのシャフトが刺せないクラストした箇所では、ピックを打ち込み、アイゼンの前歯を利かせる。
そんなことを繰り返しながら、北岳山荘冬季小屋に到着。鉄製の二重扉を開けて中に入った時思わず『助かった』と。

 

 1月2日(木) 快晴、風強い
北岳山荘6:20~7:25中白根山~9:25間ノ岳~11:00農鳥小屋11:15~12:50西農鳥岳13:00~14:20農鳥岳14:35~15:15大門沢下降点・テント場

風は相変わらず強いが、小屋を後にする。日の出前の富士山、神々しく本日の安全を祈願する。

小屋に同宿していた一人が私達より30程前に同じ方向に向かった様子。
雪面にトレースが残っている箇所もあるが、クラストしている雪面、吹き溜まりではトレースは消えている。
快晴のため視界が良いので、先頭のたきゆさんは着実に歩を進める。
広々とした山頂に出た、間ノ岳。
ここでも誰も居ない。交互に記念撮影、後方に北岳。

間ノ岳から一旦、沢部に下降する。その間は稜線の陰になり、風は弱まったが、急斜面の降下だ。
ピッケルを山側に突き、山側のアイゼンをフラットに効かせる。急傾斜ではバックステップで降りる。
やがて農鳥小屋に到着。建物は全て雪で埋まり、屋根しか見えない。

西農鳥岳へ向かう。急な登りが続く。夏道と同じだと安心だが、雪面の傾斜がきつくなるとジグザグに進んだり、ピッケルとアイゼンを効かせて直登したり。
傾斜のきつい雪面は百から二百メートルは続いた。
最後の岩場を超え、西農鳥岳に到着した時は体力の消耗は激しかった。
風が強く、休憩できる適当なところも無い、仕方なく農鳥岳を目指す。

農鳥岳山頂で、間ノ岳、北岳をバックに撮影

三千メートル峰、五座無事に登頂。今日のテント場となる大門沢下降点へ向かって降る。
(この後、カメラを取り出す余裕無くなる。)
大門沢下降点は鐘の道標が立っている。風が強いため積雪は無い。
今日、出会った人は居ない。小屋から先行した人の後姿を見たのみ。
ただ、農鳥岳から大門沢下降点までは数人のトレースが残っていた。

出来るだけ風を避けるため、西に小高い丘の陰にテントを張ったが、テントは一晩中、風にバタバタと揺れていた。

1月3日(金) 快晴 風強い
大門沢下降点6:20~9:40大門沢小屋10:05~13:20登山道迂回路13:50~林道~14:20奈良田第一発電所14:30=16:25レンタカー屋=16:45JR韮崎駅

大門沢へは、鐘のついた道標から降りる。この下降面に積雪が多い、稜線からの吹き溜まりだろう。
たきゆさんはふわふわの新雪と戯れるように降っていくが、 私は恐くて、しゃがみながら降りたのでザックの重量が背中にのしかかり大腿筋を痛めてしまう。
以降、降りが続く中、踏ん張りが利かなくなり、敢え無くペースダウン。
途中、発電所取水口の吊橋を過ぎたあたり、大幅な土砂崩れのせいか、登山道が消えているところが有り、渡渉して対岸に渡るところもあった。
その後は林道を約2Km歩き、奈良田第一発電所に到着した。
今日は登って来る7人と出会った。皆さん大門沢小屋で泊り、明日、農鳥岳を目指すという方であった。

帰途中、考えたこと。
強風の稜線歩きは寒くて恐かった。まさに「恐風」。 帰って来れたので「凶風」にならずに済んだ。
北岳~間ノ岳~農鳥岳の縦走組は先行者と私達の3人のみ。リーダー曰く「池山吊尾根~北岳のピストンと比べると2ランクアップかな」。雪質に応じたピッケルとアイゼンワークが圧倒的に不足しているのが身に沁みた。
二度も足が吊り、鍛え方が足りないと痛感する。
白峰三山に、「自分に何が足らないのか」を突きつけられた。じっくり考えてみたい。
幸いにも完登できたのは、ひとえにリーダーのお蔭である。
皆さ~ん、リーダー たきゆさんと一緒に雪山に行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました